果たして情報に「情け」や「報い」は宿るのでしょうか?
タイピングを記録し、その一切のプロセスを再生する『TypeTrace』の新作として、老若男女が匿名で大切な人に向けて書いた「ラストワーズ」(最後の言葉)を、あいちトリエンナーレ2019の会場で展示します。
自らの死を見据えた時、遺された子供や恋人、家族や友人に対して、私たちはどのような言葉を綴るのでしょうか。
そして最後の「情」を宿した他者の言葉を読む時、わたしたちは何を思うのでしょうか。
コンピュータ上のタイピング行為を時間情報とともに記録し,再生することができるソフトウェア『TypeTrace』と,それと連動してタイピングを再現するキネティック・キーボードによるインスタレーション。文章執筆のプロセスをつぶさに記録,再生することによって,最終的なアウトプットの裏に隠された思考の痕跡を読み取る可能性を提示しています。
2007年には,覆面作家としても知られ,公の場には姿を現さないことで有名な第16回三島由紀夫賞受賞作家,舞城王太郎による書き下ろしの新作がこの作品を使って執筆されました。
メディアアーティストの遠藤拓己と情報学研究者のドミニク・チェンによって設立されたベンチャー企業。のちにクリエイターの山本興一が加わる。「People will always need people(人がいる限り、人は人を求める)」をマントラ(会社の信念)に、テキスト原稿をタイピングする際の「筆跡」を可視化する「TypeTrace」や、日々の悩みや後悔を匿名で書き込むと誰かが慰めてくれるコミュニティサービス「リグレト」(2008-2017)、フォトメッセンジャーアプリの「Picsee」(2015)などを開発・運営。株主には家入一真など複数の著名エンジェル投資家のほか、MIT Media Labの伊藤穰一も名を連ねる。2018年1月にスマートニュース株式会社に参画するも、これまでdividual inc.として提供してきたサービスを継続して運営している。
2018 | チェン ドミニク, 小島 大樹, 岡 瑞起, 池上 高志:「執筆記録情報を用いた行為主体性を持つコミュニケーション場のデザイン」、人工知能学会全国大会論文集 2018(0) 2D2OS21a04-2D2OS21a04 |
2015 | 工藤 彰, 岡田 猛, ドミニク チェン:「リアルタイムの創作情報に基づいた作家の執筆スタイルと推敲過程の分析」、認知科学、22(4)、573-590 |
2012 | 《タイプトレース道~舞城王太郎之巻》,「[インターネット アート これから]——ポスト・インターネットのリアリティ」 NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、東京 |
2008 | 《タイプトレース道~舞城王太郎之巻》,第12回文化庁メディア芸術祭、東京、アート部門審査委員会推薦作品 |
2007 | 《タイプトレース道~舞城王太郎之巻》,「文学の触覚」 東京都写真美術館、東京 |
アーティスト | dividual(遠藤拓己、ドミニク・チェン) |
テクニカルディレクター | 松山真也(siro) |
エディター | 氏田雄介(考え中) |